2026.04.23
不変と進化。URAWAが貫くものづくりの本質|INSIDE CRAFTSMANSHIP
70年にわたりネイルマシンの基準を築いてきたURAWA。そこにあるのは、「変わらないこと」と「変わり続けること」という相反する哲学。本質を守りながら伝え方を更新し、使い手の未来にまで関わるものづくりを、浦和工業CEO・小山達也氏が語る。
For 70 years, URAWA has set the standard for nail machines. At its core is a paradoxical ethos: to remain unchanged, while continuing to evolve. By refining how it communicates while preserving its essence, URAWA creates products that extend beyond mere specifications to shape the future of those who use them. Tatsuya Koyama, CEO of Urawa Industry, shares the thinking behind this approach.

ーー昨年、創業70周年を迎えられた長い歴史の中で、URAWAが大切にしてきた「ものづくりの哲学」は何でしょうか?
「変わらないこと。そして、変わり続けること」変えてはならないのは、製品の品質、技術力といった根幹の部分です。当たり前のことではありますが、高水準な製品の品質を維持し続けること。これは創業当初から一貫して大切にしてきた軸です。そのうえで、もう一つ重要だと考えているのが、「その製品をいかに多くのユーザーに届け、どう伝えていくか」という点です。ここは時代やニーズに応じて、柔軟に変えていくべき部分だと考えています。
— Last year marked URAWA’s 70th anniversary. Across this long history, what philosophy has guided your approach?
It is a dual principle: to remain unchanged, and to continue evolving. The fundamentals of quality and technicality must remain, but how we communicate the value of these products to the customer should adapt flexibly.
ーーURAWAが考える「いい仕事」「いい製品」とは、どのようなものでしょうか?
URAWAの製品は、5年、10年と使い続けることができ、たとえ不具合が起きたとしても修理が可能なため、さらに長く付き合っていくことができます。モノであっても人であっても、与えられた役割を果たし続けること。それを特別なこととせず、淡々と積み重ねていくこと。それが、私たちの考える「いい仕事」であり「いい製品」です。また、品質は感覚だけでなく、きちんと数字で示していくことも重要だと考えています。G3においては、組み立て後の検査として最高回転数である20,000rpmを安定的に出力できるかのチェックを試運転室で1時間連続稼働させ、動作に問題がないかを確認しています。加えて、μ(ミクロン 1μ=1/1000mm)レベルの傷まで捉えることができる顕微鏡を用いた検査も行っています。
— What, in URAWA’s view, defines ‘good work’ and a ‘good product’?
Consistently fulfilling one’s role is what truly matters, and we value the steady accumulation of effort. Our products can be used for up to ten years, and they can be repaired. Quality shouldn’t rely on perception; it must be demonstrated. That’s why every G3 model undergoes a one-hour operation test at maximum rotation speed of 20,000 rpm, and we inspect using microscopes capable of detecting scratches at the micron level.


ーー製造工程の多くを自社内で担っているというお話もありましたが、その体制にこだわる理由を教えてください。
徹底した品質管理が実現できると同時に、製品への理解も深まり、ユーザーに対しても責任と自信を持って提供することができるといった点が大きいです。結果として、製造の多くを日本国内で行っていますが、「MADE IN JAPAN」であること自体を強く打ち出そうとは思っていません。というのも、製造や梱包の最終工程を国内で行っていればそう表現できてしまう側面もあり、その言葉自体の信頼性が市場で曖昧になっていると感じているからです。例えですが、日本人が海外を訪れた際に、あえて「自分は日本人だ」と強く主張しないように、私たちも必要以上にそれを掲げるのではなく、製品そのものの価値で伝えていきたいと考えています。
— Much of your manufacturing is handled in-house. What is the reasoning behind this approach?
We maintain quality control while deepening our understanding of the product, delivering with responsibility and confidence. Much of our manufacturing takes place here, but we don’t emphasise the ‘Made in Japan’ label – today, that designation can apply even when only the final stages are completed domestically. Just as Japanese people abroad rarely feel the need to assert their nationality, we prefer to let the product speak for itself.
ーー製品づくりにおいて、機械ではなく人の手や経験が重要になる工程はありますか?
組み立てや梱包、故障品の修理に関しては、基本的にすべて手作業で行っています。一つひとつの状態を見極めながら対応する必要がある工程においては、人の手や経験が欠かせません。一方で、機械が優れている工程も多くありますし、「人がいい、機械が悪い」といった単純な話ではないと考えています。そもそも機械も「道具」であり、それを扱うのは、結局人なわけで。私たちは、ネイル用に限らず、歯科用や工業用など50機種以上の製品を開発している強みを活かし、製造においては性能や精度がトップレベルの工作機械を使用しています。正直なところ、ここまでの性能が必要ない場面もあるかもしれません。それでも、プロが使うマシンをつくっている以上、自分たちもまたプロとして、道具に対して妥協すべきではないと思うんです。道具にこだわらない、あるいは精度に向き合わないという姿勢では、本当の意味でプロフェッショナルとは言えない。その意識を、製品づくりにおいても大切にしています。
— In your production process, are there areas where human skill and experience are particularly essential?
Assembly, packaging, and repair are all carried out by hand, requiring careful judgement and human expertise. But machines excel in many processes too – we don’t see this as a ‘human vs machine’ dichotomy. Machines are tools, and it is ultimately people who use them. We develop over 50 products across the nail, dental, and industrial fields, using top-level, high-performance machinery that may exceed necessary standards. But we create tools for professionals, and so we must operate as professionals too. Compromising on precision wouldn’t align with that mindset.


ー一方で、使い手であるプロネイリストには、どのような視点で製品を選んでほしいと考えていますか?
製品を選ぶ際、「回転数の高さ」や「構造のシンプルさ」といった、わかりやすい要素だけで判断されてしまうことも多いと感じています。ただ、実際にはそれだけで製品の良し悪しが決まるわけではありません。例えば、部品点数が少ないシンプルな構造は、一見するとマシン全体のコストダウンにつながるメリットがあるように見えますが、その分、振動や芯ブレ抑制に対する精度を欠いてしまう傾向が高くなり、一回転あたりに対する最大限のパワーが発揮できなくなることで、同じ作業を行うために、より多くの回転数が必要になる場合もあります。結果として、パワーコントロールが難しくなったり、繊細な作業に支障が出ることもあります。URAWAの製品は、一回転ごとのパワーをしっかりと確保しながら、回転数によって細かくコントロールできる設計にしています。そのため、削る作業だけでなく、アートやプレパレーションといった繊細な作業にも対応できます。回転数が高いこと自体が優れているというわけではなく、「どのようにパワーを使いこなせるか」が重要だということです。ただ、こうした本質的な違いは、スペックの数字だけでは伝わりにくい部分でもあります。今後は正しい知識や判断基準について発信する場も積極的に設けていきたいと考えています。
— From the perspective of professional nail technicians, how would you like them to approach product selection?
Products are often judged on factors like maximum rotation speed or design, but these alone don’t determine true quality. Fewer components may reduce cost, but often at the expense of control and alignment. URAWA’s machines deliver sufficient power per rotation while allowing precise control through speed adjustment – suitable for removal and detailed art. High rotation speed is not always better; what matters is how that power is controlled. We believe that sharing accurate information helps customers make informed decisions.
ーーまさしく冒頭で話されていた“変わり続けること”の部分ですね。
G3やG5を筆頭に、URAWAのネイルマシンはこれまで国内外で活躍されている多くのネイリスト様に愛用され、業界における一つの基準を築いてきたという自負があります。だからこそ、単に製品をつくるだけでなく、その基準や業界そのものが、より良い方向へと進化していく一助を担う責任もあると感じています。ネイリスト様にはそれぞれ得意・不得意があると思いますが、「オフ」という工程はどんな施術においても必ず伴うもの。そこに苦手意識があるか、あるいは楽しさや手応えを感じられるかによって、その後の技術の伸びや仕事への向き合い方も大きく変わってくるのではないでしょうか。もちろん、最も重要なのはネイリスト様自身のスキルであることは前提です。ただ一方で、使用するマシンによって施術時の感覚やコントロールのしやすさが変わるのも事実であり、それが技術の習得スピードや精度にも影響してきます。URAWAのマシンを使っていただくことは、ネイリスト様一人ひとりの技術力向上だけでなく、その先のキャリアにも影響を与えると捉えています。
— That seems to connect directly to your earlier point about ‘continuing to evolve’.
Models like the G3 and G5 have been widely used in Japan and internationally. We take pride in having established an industry benchmark and feel a responsibility to contribute to its continued evolution. Removal is an essential part of any service, and whether a technician approaches it with difficulty or confidence can shape their technique and attitude long-term. Skill is paramount, but the machine affects handling, control, speed, and accuracy. Using URAWA machines doesn’t just improve individual technique – it shapes careers.
ーー今後のネイルマシン開発において、挑戦したいことはありますか?
現行のG3については、「無理にアップデートせず、このままつくり続けてほしい」という声も多くいただいています。また、単純に機能を増やすことが、必ずしもネイリスト様のためになるとは限らないとも感じています。機能が充実しすぎることで、人の感覚や判断に委ねる場面が減り、結果として技術の成長を妨げてしまう可能性もあるからです。URAWAのマシンには、液晶モニターや細かなメモリ表記をあえて搭載していませんが、「だいたいこのくらい」という感覚を自分の中で掴むことも、古い考えかもしれませんが技術の一部だと考えています。求められた機能をそのまま形にすることは難しくありませんが、それが本当に使い手のためになるのかは慎重に考える必要があります。使い手の成長まで含めて支えられる製品とは何か。その問いに向き合いながら、製品づくり、業界全体に誠実にアプローチし続けていきたいと考えています。
— Looking ahead, are there any areas you would like to challenge in future nail machine development?
We often receive feedback asking us to keep producing the G3 as it is. Simply adding features doesn’t always benefit nail technicians – excessive functionality like LCD screens can reduce the need for human judgement, potentially hindering skill development. Building intuition is an important part of technique. Implementing requested features isn’t difficult; what matters is whether they truly serve the user. We continually ask what it means to support not just usability, but growth.


浦和工業 / URAWA
instagram@urawacorp_nail
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https://www.urawa.co.jp/
PHOTOGRAPHER: Chizuru
EDITOR: NAOMI TAHARA
INTERVIEWER: MAKO UCHIDA
※2026年 NAILEX 6月号を再編集した記事になります。