2021.12.15
木下美穂里がネイル業界のレジェンドたちを語る #2
時代を超えて他を魅了する徹底した美しいブランドのビジュアル作りは、 クリエイティブ創始者ジャン・アーノルドの存在そのもの。今回はそんな彼女へのオマージュとともに木下美穂里さんに語っていただきます
1970年代からネイル界を牽引 モード業界へ
クリエイティブ(CNDを私は愛を込めてクリエイテ ィブと呼んでいる)との出会いは 代のころ、アメリ カのビューティサプライで壁一面に置かれたクリエイ ティブの商品とその傍に貼ってあった美しいポスター に惹きつけられました。 代前半に行った の美容展 示会でひときわかっこよく展示されていたCND商品 ブースも鮮烈な記憶の1つ。CNDはいつも商品と共 に、その広告ツールの美しさが際立ったブランドとし て私の中にあります。
数年後日本にC N Dが上陸し、その発表会の際 CND創始者ジャン・アーノルド(ジャン・ノードス トローム・アーノルド)がいました。その存在感はま さにCNDのイメージそのもの。「かっこいい 」の一 言で、ほかに表現のしようがないほどでした。
ジャン・アーノルドは、1979年歯科医で化学者の 父と兄と共同でCNDを設立。1970年代のアメリ カはアクリルネイルが登場し、大人気になっていった 時代。CNDは、そんな時代背景の中、クオリティの 高さが評判を呼びブランドの知名度を一気に拡大して いったブランドでもあります。アメリカのネイルスク ールでもCNDが使われていた記憶があります。 また、広告の美しさはまさに圧巻他のブランドの追
随を許さない、独自の世界観とジャンから感じたあの、 かっこ良さが現れている。残念ながら手元に画像が残 っていませんが、私が大好きなCNDのイメージ画像 が白いシャツの袖と、手だけの世界で表現されたもの。 今まで出逢ったネイルの広告画像の中で好きな画像の 1つです。
今回改めてジャンとCNDを調べ直すと、1997年 から本格的に世界中の女性たちを魅了するべく多くの フッションデザイナーとチームを組み、シーズンごと のコレクションのバックステージで活躍しています。資料によるとエルメスや、フォルクスワーゲンとのコラボ等、数多くトップブランドとのコラボが行われてい ます。私自身も多くのフッションブランドや、ビュー ティステージでネイルを担当してきた時代。ネイルが フッションの世界でも重要視され始めた時代と感じて います。 ネイルが単に、指先に色を塗るという行為からパー ソナリティを表現するクリエイティブな物へと導いた、 そんな役目があったと感じます。 2012年には、世界中を魅了した「シェラック」 が日本でもプレス発表されました。当時、ヨーロッパ ではまだソークオフジェル否定派も多く、日本ではち ょうどソークオフジェルが定着し始めた頃。ポリッシ ュでもジェルでもない、新しいネイルのカテゴリーとし て、早く、美しく、ネイルを削らない、次世代の商品と して世界中に与えた影響力は大きかったのです。 ネイル業界には、ネイルへの大きな情熱を様々な形で伝 承していってくれるレジェンドたちがいます。ネイルを ファッションへと昇華させていった過程にCN D創始 者のジャンが担った役目は大きいと改めて感謝したい。
木下ユミ・メークアップ&ネイルアトリエ校 長。N P O法人日本ネイリスト協会理事。
メ ークアップ&ネイルのトータルビューティー クリエイター、3Dネイルアートの名付け親。